勅使川原三郎 「ない男」 2008.12.13
東京両国シアターX。
身体実験劇場 勅使川原三郎「ない男」。
演出・美術・照明・衣装 ― 勅使川原三郎
原作 ― ロベルト・ムジール「特性のない男(Der Mann ohne Eigenschaften)」(松籟社/加藤二郎・訳)
ムジール著の「特性のない男」は、言語に表しきれない事を執拗に追い求める。不可能性あふれる深い思考は、我々を大いなる湾曲した冒険に駆り立てる。その身体実験では、言葉に犯されながら言葉を破壊する無謀な企みと、幻覚者らしからぬ身体や喪失者らしからぬ風体が交錯する。身体によって自らを破壊するかもしれない生との格闘である。 勅使川原三郎
180席程度の小劇場。舞台との距離の近さに緊張を覚える。
「特性のない男」の抜粋だろうか。セリフの朗読が流れる中、照明・舞台の上下移動・オルガン1台。
言葉による身体による表現の更に先の高みへは未知の領域であり、その過程はもしかしたら自らを脅かすかもしれない、正に格闘といえるものなのかもしれない。
身体実験劇場という試みを舞台の上で格闘している姿を前にして、何の準備もせずただ何かを待って客席に居る傍観者的自分の無責任さを悔いる。
by sugi_si
| 2008-12-13 20:34
| ART